これで最後
ミュージアムの模写や写真撮影について触れるのは、これで最後。正直なところ、この手の話題に積極的に関わる人達の独善的な態度にも、大局観を欠いた意見にも、もううんざり。一切、目にしたくないという思いしかありません。まあ、これがTwitterから手を引くことにした最大の理由です。
それぞれの正しさ
Twitterでも繰り返し指摘してきたが、正しさとは相対的なものであり、絶対的な正しさなど存在しえません。この議論の中でも、ミュージアム、所蔵者、観覧客、野次馬、傍観者などなど様々な立場があり、各々にその立場なりの正しさが有るのです。絶対的な正しさなど、存在しないのです。
あなたが批判する相手も、その相手なりの正しさがあり、理想と現実のギャップの間での悩みや葛藤が有るということに思いやりを持つべきです。この手の炎上が有るたびミュージアム側は、組織であるがゆえに黙して批判を受け流すしかありません。一方で個人である批判者側は、ミュージアム側にも血が通った人間がいることを忘れたかのように、口汚い批判の声を上げてはいないでしょうか?本当にそれで、ミュージアムの明るい未来を実現できるのでしょうか?
そんなやり方では、より硬直化し未来しか実現できないであろうことを、私は確信しています。
この世は常にグレー
そもそも、この世の中のおおよそすべてのものは、右だの左だのと断ずることのできないグレーです。自分の目の前にある仕事を、本来あるべき正しいやり方でこなすことができる人が、どれだけいることでしょうか?
今回の件で批判にまわったあなた方も、自身の仕事を振り返ってよく考えるべきです。あなたは、常に正しい仕事をできているのでしょうか?上司や他の部署、客などの意向で、理想とはかけ離れた仕事をしたことは、かならずあるはずです。というより現実には、ほぼ全ての仕事は、理想とは異なり、程度の差こそあれ妥協の産物であると断じても、あながち間違いとは言えないでしょう。
アウトプットされたものが、あなたが思う理想と違うから仕事をしていないと断ずるのは、浅はかとしか言いようがありません。
平和な議論を
まだまだ言いたいことは有るが、際限がないので結論を。相手を揶揄したり、攻撃したりすることで、世界は変わることはありません。自分自身の正しさを過信せず、相手にも相手の正しさが有ることをよく考えてください。
あなたが正しいと思うように、相手にも正しさが有るのです。模写を禁止する所蔵者には所蔵者なりの正しさが、模写禁止を受け入れたミュージアムにはミュージアムなりの正しさがあります。それはそれぞれにとって、そして第三者にとっての理想の形とは異なるかもしれませんが、その時とれるベストの正しさを選択した結果であるはずなのです。
それぞれがお互いの立場を思いやり、大人としての冷静な態度で建設的な意見交換、平和な議論を行うことはできないものでしょうか?自己の正しさを石礫として投げつけるようなやり方で、本当にミュージアムの明るい未来は、築かれるのでしょうか?少なくとも、喧嘩腰で批判しなければならないような、重大な問題だとは、私には思われないのです。
以上をもって、模写と写真撮影の話は終了。というか失望しか無いミュージアムの話は、もうしないでしょう。今後は、単に土偶や土器など遺物の話をするだけとなります。
追記
多くのミュージアムに関わる人達に失望したのは事実。幾人かの素晴らしい中の人達に出会えたのも事実。素晴らしいと思える人たちは、これからもひっそりと応援し続けます。