博物館の図録を電子出版してはどうかという話

電子出版について どうでも良い話
電子出版について

はじめに

ちょっと前に「予算がなくて図録を出版できない」というような話しを耳にし、気になったのでいろいろと調べてみました。

もともとは博物館の運営を支援するNPOを設立し、資金の無い著者(個人や施設)から原稿を預かり、出版と販売を代行し、売上から利益を著者に還元するというような仕組みを考えていました。そうして実現の可能性について、あれこれ調べ考えていたわけですが、ようよく考えたら、今どきは出版にお金を使う必要はないなという結論に達したわけです。

つまりは予算なんかなくても、原稿さえあれば、図録でも本でも売ることができるのです。方法は、電子書籍です。

本題に入る前に、まず現状の問題点の整理をしておきたいと思います。

買い手側からみた問題

よほど大きな展示会の図録であれば、書籍としてアマゾンなどの通販サイトで購入できます。ですが博物館が販売する図録は、一般の流通に乗っていません。このため博物館に連絡して銀行口座などにお金を振り込んで購入しなければなりません。

下のリンクは、釈迦堂遺跡博物館の図録販売のページですが、だいたいどこもこのパターンです。正直言って、現代の通販に慣れきっている私にとっては、正直面倒です。

遠方の博物館であれば、事前に図録を入手して予習をしてから出かけたいところですが、結局めんどうなので館に行ってから購入し、後で図録を読んであれも見ればよかった、これを確認すればよかったと後悔するはめになるのです。

また売り切れていて、興味のある図録が売り切れているというのも、よくある話です。ベストセラー小説のように売れまくるという類の本でも無いでしょうから、再販も難しく、一生手に入れることはできません。

買い手側からみた大きな問題点は、おおきく以上の2点です。入手性が悪く、また品切れになると入手不可能になるということです。一般の書籍の場合は、古本としてのリセールもありますが、図録は特殊なので古本を探すのも大変です。

売り手側から見た問題点

売り手側からみた問題点は、私自身が中の人ではないため、想像するしかありません。ですが、だいたいはコストに関わることではないでしょうか?

実際に私がTwitterでみた事例も、予算がついていないので出版できないというものでした。そもそもマニアックな書籍ですので、どれだけ売れるのか予測も難しいでしょう。一気に売れてしまって現金化できるような性質の商材でもありません。長期間に渡って在庫として在庫し続ける必要も有るでしょう。

経営的な観点にたつと、予算をつけづらいのも理解できるところです。私が経営者なら、回転率が悪い図録ではなく、一般来館者にも受けそうで売れるグッズ類に優先的に予算をつけるでしょう。

電子書籍は全ての問題を解決する

結論として、全ての問題を解決するのは、電子書籍です。

  • 電子書籍の出版は、原稿作成にかかる労力以外はゼロコスト
  • ほしいと思ったら、あっという間に手に入れられる
  • 在庫リスクゼロだけど、無限の在庫

例えば、アマゾンが、運営しているKindleでは、出版コストはゼロです。つまり原稿さえあれば、1円も使う必要はありません。

そして原稿さえあれば、簡単に出版することができます。原稿も推奨されるファイル形式にWordファイルが指定されていますので簡単です。その他の形式でもPDFにしてしまえば、OKです。

執筆を除けば、出版にかかる作業は、1時間もあれば十分です。必要な作業は、本に関する情報の入力と、表紙と原稿をアップするだけです。非常に簡単です。

そして一旦アップしてしまえば、自分で販売中止にするまでは販売され続けます。そもそも電子データなので、在庫という概念はありません。在庫が切れるなんてことはありませんし、あまってデッドストックになるなんてこともありません。売れれば、2ヶ月後には指定の口座に売上が、振り込まれます。販売方法の設定にもよりますが、プライム会員やKindle unlimitedの会員が購入せずに読んだだけでも売上になります。

もちろん発送だとか入金確認だとか、そういった事務手続きからも開放されます。とにかく一度出版してしまえば、あとはほったらかしで済むので、管理も非常に楽です。

まとめ

というわけで、予算がなければ、電子書籍にしてはどうかというお話を書いてみました。大昔に私もKindleで出版を試してみたことがあります。まあたいして売れはしなかったんだけど、電子書籍を出版するのは、本当に簡単ですしゼロコストです。

図録は私達考古学ファンにとっては無くてはならないものですし、博物館の存在意義にも関わる問題だと思います。予算がなくても出版し、収益化する道はあります!予算が無いからと諦めるのではなく、ぜひぜひ電子出版を検討してほしいと思います。

余談

博物館の電子出版をサポートするような活動も面白いかも。そしてアマゾンのサイトだと検索性悪いので、博物館系の書籍だけを集めて紹介するサイトをつくるってこともできそう。

いろいろアイデアは出てくるけど、時間とパワーと能力がない!若さが欲しい!

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