愛知県 保美貝塚
名称:保美(ほび)貝塚
所在地:愛知県田原市保美町平城110−1
時代区分:縄文時代晩期
主な遺物:石器、骨角器、石棒、土偶、人骨、貝輪、犬の骨
愛知県の渥美半島にある保美貝塚を見学してきました。この場所には、3つの貝塚が存在していたそうです。そのうちの一部を見学することができるようになっています。
さて現地に行ってみますと、地面に牡蠣や栄螺、二枚貝などの貝殻があちこちに落ちていてここが、間違いなく貝塚であったことを示しています。おそらく発掘調査をした際に出たものの一部が、埋め戻されずに地表に残されたものだと思われます。どの貝殻も完全に色が抜けて真っ白になっており、非常に長い年月が経過していることを思わせます。ただ単に貝殻が落ちている。それだけのことなのですが、数千年の時を越えた遺物が、実際に存在するのを目にすると、非常に感慨深いものがありました。
言うまでもないことですが、遺物の採取や現状変更は、禁止との看板も建てられていました。地表にあるものを触ってみる程度にしておくべきでしょう。貝殻を記念に持って帰ると言うようなことは、絶対にしないでください。
土偶
こちらの貝塚からは、土偶も発見されています。しかしながら、あまり出来の良いものではありませんし、頭部のみが残されており、激しく損傷しています。
ちなみにこの土偶は、現在東京大学の所蔵品となっており、どこかで見学するというようなことはできません。ただし写真はデータベースで開示されていますので、こちらのリンクからご確認ください。
保美貝塚から出土した土偶
人骨
この貝塚からは、たくさんの人骨が発掘されています。沖縄を除く日本の土壌は、基本的に酸性ですので有機物は、腐ってしまいほとんど残りません。人骨が腐らずに残るのは、貝塚か低湿地だけということになります。ですので縄文人の骨は、考古学的には非常に貴重な資料になるわけです。
中でも特徴的な埋葬が、盤状集骨墓(下の写真に実際の埋葬状態が紹介されています)です。縄文時代は、基本的に土葬で火葬はしていません。ですので、朽ちて骨だけになってから、このような形に組み上げて埋葬したと言うことになります。現代人の私たちには想像できませんが、この地に暮らした縄文人にとっては、重要な意味があったのでしょう。
犬の骨
ここからは、犬の骨も発掘されています。縄文時代には、すでに犬が人間のパートナーとして飼われていました。おそらく猟犬としての役割を果たしていたのでしょう。また、人間と同じように埋葬されていることからも、この時代にはすでに犬を人間と同様に大切にしていたことが、窺い知れます。
リンク
シェルマよしご ー 文化財情報:保美貝塚調査の概要
参考資料
縄文人骨の研究に興味がある方は、こちらの書籍をおすすめします。
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