愛知県 吉胡貝塚

吉胡貝塚 縄文時代の遺跡
吉胡貝塚

愛知県 吉胡貝塚


名称:吉胡(よしご)貝塚
所在地:愛知県田原市吉胡町矢崎42-4
時代区分:縄文時代後期ー晩期
主な遺物:石器、骨角器、石棒、土偶、人骨、貝輪、犬の骨

愛知県の渥美半島にある吉胡貝塚を見学してきました。この貝塚は、史跡公園として整備されていて博物館も併設されています。ここでは、博物館以外の内容について紹介したいと思います。
この遺跡は、非常に大量の人骨が発見されたことから非常に有名です。ひょっとしたら、ゴミ捨て場である貝塚に遺体を埋めると言うことに違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが貝塚は、単に不要なものを廃棄する場所ではなかったのだと考えられています。貝塚は、この世で役割を終えたものをあの世に送り、再生を願う神聖な場所であったのだと考えられます。
考えてみれば、貝類は無限と言えるほど採ることができますので、非常に生命力が強い存在と考えられていたのではないでしょうか?そのような生命力が強い貝の殻の中に埋葬することで、故人の再生を願ったのかもしれません。

土偶

この貝塚からも土偶が発掘されています。実物は、博物館の方に展示されています。写真撮影はOKだけどインターネットでの紹介はNGとのことでした。残念。
実物は、5cm程度の小型のものです。残念ながら頭と足が欠損し胴体のみしか残っておらず、短い手が両側に突き出た十字型をしています。雲母が練り込まれているようで、表面はキラキラしていました。

人骨

この貝塚からは、300体以上の人骨が発見されています。日本では遺跡から人骨が発掘されることはあまりありません。これは日本(沖縄を除く)の土壌が酸性であるため、地中の有機物はほとんど腐敗して残らないからです。このため300体という人骨の数は、縄文時代の遺跡としては、最も多い発掘数となるそうです。ここから発掘される骨から、抜歯や叉状研歯(しゃじょうけんし、歯を削って鋸状にする)を行ったことが確認されています。抜歯は特定の年齢で行ったらしく、成人の通過儀礼として行われたようです。叉状研歯(しゃじょうけんし)は、特別な身分、役割の人が行ったと考えられています。当たり前ですが削ると相当痛いらしく、その痛みに耐えることに意味があったようです。

史跡公園内の様子

公園内はよく整備されていて、気持ちの良い芝生の広場もあります。子供向けの体験学習もあるとのことで、訪問日にも弓矢を作る体験学習が実施されていました。
下の写真の左側の建物が貝塚断面の展示施設です。当然レプリカですが、人がどのように埋葬されていたかが分かる展示もされていました。貝の層がかなり厚く長い年月をかけて形成されたことがわかります。

リンク

シェルマよしご ー 吉胡貝塚史跡公園

参考資料

縄文人骨の研究に興味がある方は、こちらの書籍をおすすめします。

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