愛知県 伊川津貝塚
名称:伊川津(いがわづ)貝塚
所在地:愛知県田原市伊川津町郷中
時代区分:縄文時代後期から晩期
主な遺物:石器、骨角器、石棒、有髯土偶、人骨
愛知県の渥美半島にある伊川津貝塚を見学してきました。こちらの貝塚は、現在は伊川津神明社の敷地となっており、特に見るべきものはありません。案内の看板によると、貝塚は東西480メートル、南北240メートルの範囲に広がっているそうです。ですので周囲の家や畑は、貝塚の上に存在しているということになります。海岸からは、直線距離で300−400メートルほど離れていますので、この貝塚が形成された頃の海水面は、今よりもかなり高かったということになります。
有髯(ゆうぜん)土偶
この遺跡から見つかったもので特に有名なものが、有髯(ゆうぜん)土偶です。要するにヒゲヅラ土偶ということになりますね。こちらの土偶は、顔だけしか残っていませんので、男性を模したものかどうかは、不明です。ひょっとしたら入れ墨を表現していて女性を模したものだった可能性もあります。
ちなみにこの土偶は、現在東京大学の所蔵品となっており、どこかで見学するというようなことはできません。ただし写真はデータベースで開示されていますので、こちらのリンクからご確認ください。
有髯(ゆうぜん)土偶
183体の人骨
さらに重要な遺物としては、183体も発掘されたという人骨もあります。沖縄を除く日本の土壌は、基本的に酸性ですので有機物は、腐ってしまいほとんど残りません。人骨が腐らずに残るのは、貝塚か低湿地だけということになります。ですので縄文人の骨は、考古学的には非常に貴重な資料になるわけです。
人骨には、暴力的な行為によって付けられた可能性があるものも含まれているそうです。このため、この時代には既に何らかの争いがあった可能性があるようです。
リンク
シェルマよしご ー 文化財情報:伊川津貝塚調査の概要
参考書籍
縄文人骨の研究に興味がある方は、こちらの書籍をおすすめします。