土偶に秘められた女子力とは?

土偶の女子力 土偶を知るための記事

土偶に秘められた女子力とは?

以前の記事でなぜ土偶が女性の形をしてるかについて考てみました。その中で出産の無事への祈りが込められているという説について紹介させていただきました。現代人の私たちにとっては、出産は子供が生まれるという以上の深い意味は、ありません。ところが縄文人にとっては、もっと深い理由があったようなのです。今回は、土偶が女性の形をしている理由について掘り下げて考てみたいと思います。土偶に秘められた女子力とは、一体何だったのでしょうか?

大宜津比売(オオゲツヒメ)の話

さて縄文時代は先史時代なので文字による記録は一切ありません。このため残された遺物から推測するか、後の時代の記録から推測するか、もしくは同じような事例から研究するしかありません。

ここでは日本最古の歴史書である古事記の中から大宜津比売(オオゲツヒメ)の話を紹介したいと思います。登場するのは、乱暴な神様である須佐之男命(スサノオノミコト)と大宜津比売(オオゲツヒメ)です。

高天原(高天原)で大暴れして追い出された須佐之男命(スサノオノミコト)は、地上に降りてきて、お腹が減ったので大宜津比売(オオゲツヒメ)に食事を要求しました。そこで大宜津比売(オオゲツヒメ)は自分の鼻や口、お尻から様々な食べ物を出し須佐之男命(スサノオノミコト)に食事を提供します。

ところがこれを見た須佐之男命(スサノオノミコト)は、汚いことをすると怒り大宜津比売(オオゲツヒメ)を斬り殺してしまったのです。殺された大宜津比売(オオゲツヒメ)の死体の頭から蚕、目からは米、耳から粟、鼻から小豆、陰部から麦、尻から豆が生まれたのです。これが食料などの有益な物が私たちに持たされた起源として紹介されているのです。

女性が食物の起源?

大宜津比売(オオゲツヒメ)のお話は、現代人から見ると意味不明で残酷なお話です。ですが、同じような説話は、アジアの各地に残されています。ここで重要なのは、様々なものが女性の神様から生み出されているということです。古事記は、6世紀の成立で時代的には少し後ですが、縄文時代を含むそれより前の時代の思想を強く反映していると考られます。

考てみるみると私を含めた男性は、なに一つ産み出すことはできません。ところが女性は、新し命を産み出す実に不思議な力を持っています。縄文時代の人たちは、このことに大きく注目していたはずです。子供を産み命をつないでいくことは、なにも人間に限ったことではありません。食料にしていた動物や魚介類も同じです。植物にしても仕組みが違うだけで同じことです。

女性だけが持つ産み出す力は、単に人間の命を繋いでいくというだけでなく、身の回りの食料となる命にも影響を及ぼすと考られたのでしょう。土偶にもこのような思想が色こく残されていると考られるのです。つまり土偶は、生命そのものの再生や安定を願って作られた非常に重要なシンボルだったのです。

まとめ

  • 食べ物は女性の神様から生まれた
  • 女性の産む力は生命の再生や安定と同一視されたかも
  • 土偶に込められた願いは出産の安全だけではなく幅広いものだった

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