苦しそう?な土偶
こちらの土偶は、岐阜県高山市の堂之上遺跡(どうのそらいせき)からの出土品であります。前回も書きましたが、堂之上遺跡からは足だけの土偶がたくさん見つかっています。なんらかの理由で胴体や頭部は、破壊されたか別の場所に持っていかれたのでしょう。今回もそんな場所で見つかったレアな頭だけの土偶ということになります。
ハート型の輪郭ですが、その表情はどことなく苦しそうに見えます。同じ場所から見つかった土偶でも、笑顔に見えたり苦しそうに見えたり。。。そこには土偶の表情に込めなければならない、切実な事情があったのでしょうか?
時代
おそらく縄文時代中期
発掘遺跡
堂之上遺跡(どうのそらいせき)
展示されている博物館
久々野歴史民俗資料館に展示されています。
コメント
今回の土偶は、苦しそうな表情に見えます。縄文時代のことを争いの無い平和な時代だと紹介されているのを見かけることがあります。ですが、本当にそうでしょうか?争いがあったかどうかは別の機会に譲りたいと思いますが、すくなくとも精神的な意味では、決して平和だとは言えなかったと思うのです。
病や怪我で人々が、特に子どもたちが、次々に命を落とす社会では、精神的な苦しみは相当なものであったはずです。ひょっとしたら、この土偶も、そんな苦しみを表しているのかも知れません。