キツネ顔土偶
今回紹介するのは、豊田市郷土資料館(2022年9月30日に閉館、2024年新博物館オープン予定)が、所蔵している土偶です。常設の展示はされておらず、イベントや特別展で多数の縄文土器や土偶たちと一緒に展示されてきました。そんな田中コレクションの土偶を紹介します。
やや縦長の逆三角形の顔をした土偶です。残念ながら東日本から出土ということ以上に詳しい情報はありませんでした。平面的な顔つきですので、やはりこちらも仮面と解釈するのが良いのではないでしょうか?
少し距離は離れていますが、山梨県から長野県にかけての中部高地には、おなじような逆三角形の仮面をつけた土偶が発掘されています。出来栄えは全く違うのですが、V字型の眉か目の表現や、おちょぼ口は、中部高地の仮面土偶たちと似ているのではないでしょうか?
今回紹介した土偶と中部高地の仮面土偶たちは、縄文時代晩期のもので生まれた時代も似通っています。国宝級の力作土偶の劣化コピー土偶は、わりとたくさん見つかっているようです。お互いのムラを行き来した人たちが、記憶だけを頼りに復元したので、大体合っているけど、ちょっと変。そんな劣化コピー土偶が生まれてしまったのでしょうね。
時代
縄文時代晩期(約3500年前)
発掘遺跡
東日本(出土遺跡不明)
展示されている博物館
豊田市郷土資料館が所蔵。同館は2022年9月30日に閉館済み。2024年に新博物館オープン予定
田中コレクションが展示されることを期待しましょう。
コメント
今回は、豊田市郷土資料館が所蔵する土偶の紹介でした。まんが日本昔ばなしに出てくるキツネのような顔の土偶ですが、私はこの土偶は中部高地の仮面土偶の劣化コピーなのではないかと思っています。現代人の我々が想像するよりも遥かに広大な範囲を移動して交流していた縄文の人たちですが、さすがに紙も筆もない時代のこと。情報を劣化させずに伝えるのは、なかなか難しかったのでしょうね。