縄文時代の歴史
山田康弘先生の「縄文時代の歴史」を読みましたので、その紹介をしたいと思います。本の中に出てくる土偶情報が多いほど、ブックレビューのタイトル写真の土偶の人数が増えます。土偶情報満載の書籍では、国宝土偶が5人勢揃いします。今回は、合掌土偶さん一人だけの登場です。
書籍に関する情報は、以下のとおりです。
書籍情報
書籍名:縄文時代の歴史
著者:山田康弘
出版社:講談社
内容(「BOOK」データベースより)
1万年以上続いた世界史上ユニークな文化「縄文」とは?縄文時代の人々はどんなものを食べていた?縄文時代の家や集落の姿は?縄文時代の墓は?縄文時代に農耕はあった?縄文時代は平等な時代だった?縄文時代に戦争はあった?縄文土器は「鍋」だった?最新の知見で描く、「縄文時代」の通史、決定版!「縄文」のすべてがわかる!
目次(「BOOK」データベースより)
プロローグ 縄文時代前夜/第1章 縄文時代・文化の枠組み/第2章 土器使用のはじまり 草創期(1期)/第3章 本格的な定住生活の確立 早期(2期)/第4章 人口の増加と社会の安定化・社会複雑化の進展 前期・中期(3期)/第5章 精神文化の発達と社会の複雑化 後期・晩期(4期)/エピローグ 縄文時代・文化の本質
概要
「縄文時代の歴史」は、タイトル通りの内容で、縄文時代の歴史書として書かれた本になります。本書は、縄文時代が始まる前、日本に人類が渡ってきたところから始まり、縄文時代が終わるまでの歴史について、様々な説を紹介しながら解説してくれています。例えば、縄文時代の始まりについては、3つの説、すなわち
土器の出現
土器の一般化、普及
縄文的な生活、居住形態が確率
があるということを説明しています。このように全般に渡って広く浅く、縄文時代にかんするあらゆる情報が詰め込まれた書籍で、縄文時代を学ぶ教科書といった内容になっていると言えるでしょう。先史時代(文字による記録がされていない時代)のことなので、わかることには限りがあります。それでも本書では、縄文時代に関するさまざまな疑問に答えてくれるはずです。
感想
土偶に関する話は、あまり出てこない点が残念ですが、縄文時代に関する教科書、入門書としては、最適なのではないでしょうか?山田先生の専門ということもあるのでしょうが、墓制や葬送儀礼に関しては、他と比べて情報量が多めです。ただ、よくよく考えると、日常の生活と違い、墓には死者への思いを明確な形として残したいという強い意思が働いています。だからこそあとの時代にも痕跡として残りやすいし、意図が推測しやすい分だけ、縄文時代に暮らした人たちの精神を推測しやすいのですね。
あとの時代になると死を穢とみなし、恐れの対象と変化しています。ですが縄文人たちは、一度埋葬したあとに掘り起こして再埋葬したりしているようです。こういう風習と穢れの思想は、かなり差があるように思えます。埋葬に関する変化に着目して調べてみるのも、面白そうですね。