吉胡貝塚の土偶
こちらは愛知県田原市の吉胡貝塚からの出土品です。摩耗が激しく、また頭部や下半身が欠損しているため元の状態を知ることはできません。ですが、あまり装飾のないシンプルな土偶であったように思えます。
色はかなり赤っぽく、小さな砂粒のようなものが練り込まれているのがわかります。コレにも何らかの意味が込められているのでしょうか?
時代
縄文時代後期末から晩期(約3200〜2400年前)
発掘遺跡
吉胡貝塚は、非常に多数の人骨が出土したことで有名です。この地域では、いったん白骨化させた骨を井桁形に組んだ盤状集積葬が多く発見されています。
展示されている博物館
シェルマよしごに展示されています。
コメント
吉胡貝塚の土偶は、非常にシンプルです。摩耗しているとはいえ、作られた当時も華美な装飾のないシンプルな土偶であったように思えます。一方で貝塚での埋葬や儀礼祭祀等には独特の文化があったようで盤状集積葬のような独特の埋葬方法が見られます。生よりも死からの再生に重点が置かれた文化が形成されていたのかも知れませんね。